今回紹介する「大人の文章術」は、文章を書くことに慣れてない方が少しでも苦手意識を克服できるようなポイントが詰められた本になります。僕も普段文章を書いていますがとても得意だとは言えません。それでも口下手なこともあり相手に伝えるには文章の方が伝えやすいとは思っています。ご紹介する大人の文章術では文章構成の基本からビジネスの場面でも活用できる文章のビジネスマナー、魅力的で惹きつけられる文章の考え方まで学べると感じました。本のページ数も少なく抑えておきたいポイントが簡潔に解説されてあります。
まず心に響かない文章の特徴はどのような事が含まれているでしょうか。また心に響く・読みやすい文章とは?という問いから大人の文章術は始まります。
心に響く・響かない文章とは
心に響かない文章
・独りよがりの文章
・目的が明確ではない
・ダラダラとした長い文章
・当たり障りのない内容になっている
心に響く文章
・論理と感情に訴えかける文章
・目的が明確である
・内容が簡潔でリズミカルな文章である
・導入から惹き込まれる
上の二つの例を見てみると一目瞭然で文章で心に響かない文章は「読者に何を伝えたいかわからず、単調で読んでいて長い文章」になっているイメージが湧きます。
また心に響く文章は「まとまりがあり分かりやすく読んでいて心地よい文章」というようなイメージが湧きます。
大人の文章術では基本の説得力である文章の構図から品格のあるビジネス文章術・短文上達から応用まで紹介されています。
文章の構図
文章の構図編からご紹介
文章の構図とは起承転結されていて、文章の始まりから終わりまでの「序論・本論・結論」がしっかりとまとまっている文章になります。
説得力が出る文章とは「主張」を最初に伝える事です。
なぜ最初に主張を書くことが重要なのでしょうか。文章を書くのに慣れていない人にありがちな事は「その場で思いついたことを書いていく」ことが多いと思います。そこでまず主張を述べて読者に「なぜその主張を述べているのか?」疑問を問いかけてその後主張の理由を説明することで相手はスムーズに情報を受け取ることができるからです。
また感情的な文章、独りよがりな問いかけが多く含まれていると心地よく読むことができなくなるので気をつけたいポイントです。
大人の文章術ではその他押さえておきたい基本ポイントもわかりやすい例文を確かめながら学べます。
1.新聞に学ぶ明快な文章術
2.反論を封じ込める4ステップ
3.接続語を使いこなそう
4.ドラマチックに伝える起承転結法
5.導入で惹きつけるテクニック
6.ちょうどよい文章量にする方法
6の「ちょうどよい文章量にする方法」では文章を書き慣れてない人が陥る第一の関門かも知れません。このステップではわずか16文字「映画は映画館で見たいと思います。」から80文字以上に伸ばしてください、というお題に対してどのような発想で文章を考えるか?が説明されていて様々な視点の切り替えを学べることができました。
魅力的な文章術
俳句・短歌の読み取りについて
相手の心を揺さぶる基本は五感に訴えかける。書き手は読み手に脳裏にありありと浮かび上がらせることが必要なのです。この書き手と読み手の分かち合いを短い字数で実現しているのが短歌・俳句の世界です。俳句はたった17音の世界なので表現は簡素なものにならざるを得ません。季語ルールがあるため、抽象的な考えを俳句に読む事は難しく、描かれてるのは具体的な情景になります。その映像を読み手の中に書き立てて、それをどう受け止めるかは読み手に任せるのです。最後まで語らない、この引き算の美学。饒舌の対極に当たる上級者の世界です。
ここで初めて気づいたのは俳句・短歌と文章力の繋がり。俳句や短歌をいかに読み解くか、書き手の思いを何を伝えたいか読み解く技術。これと通ずるもので「コピーライターから学ぶ文章術」という項目もあります。
コピーライターもまた短い文章でいかにインパクトを与え読者に訴えかけれるか、さっと書かれたようなコピーも何十・何百と試行錯誤され世に出されていると考えると、どのような思いを伝えたいのか?を考える事で面白く興味が湧いてきました。
”最後まで語らない、この引き算の美学”またこの言葉もとても惹かれるフレーズだと感じました。
応用として名文から学ぶ
最後の段落になります。ここではいつの時代にも色あせない文豪たちから学べるポイントが書かれています。
文章力アップの法則として以下のことが書かれていました。
・文章力は読む事で培われる
・文豪の文章を写軽する
・不朽の名作により多く触れる
・好きな作家の文章により多く触れる
・印象に残ったシーンを書き写す
”書くこと支えているのは読むこと、インプットなしにアウトプットはあり得ません。”と書かれていました。ここでいう”書く事”はあくまでも魅力的で巧い文章だと思います。
読んでおきたい名文5冊
・夏目漱石「草枕」
・芥川龍之介「蜘蛛の糸」
・志賀直哉「城の崎にて」
・幸田文「流れる」
・川端康成「雪国」
上記の本が「大人の文章術」では挙げられていてそれぞれの名文から学ぶポイントが詳しく解説してあります。
普段気づかない視点で読書ができて得られるものは多いと感じました。
今回ご紹介しました「大人の文章術」僕はこれからの文章との向き合い方を変えるためにも、何度も読み直したい本だと感じました。基礎のテクニックから応用、文章を描き慣れていない方からすると普段気づきもしない捉え方のポイントがあるかと思われます。この本は”簡潔に文章術の解説”をしていること、また新品で600円ほどで購入できることもあり、普段文章を苦手とする方が本屋でまず覗いてみようと思われたら幸いだと思い今回ご紹介となりました。